2024年 02月 19日
8年目の金メダル
今回の企画は虎之介選手が当クラブに入会して初めてレスリング大会で優勝を決めたことを記念して本人とお父さんにインタビューを行うことにしました。
湯川「本日はよろしくお願いします。では始めに1月28日愛知県武道館で開催されたゴールドカップで優勝を決めた、今の気持ちを聞かせてください」
虎之介「素直に嬉しいです。実は今年度の目標達成シートに『ゴールデンカップで優勝すること』と書いたことが実現できてたことが嬉しです。その目標に向けて練習を行ってきたことが形になって良かったです」
湯川「お父さんはどうですか?」
お父さん「やはり嬉しかったですね、結果は10点です。しかし中身は2点という感じですかね」
湯川「それはどうしてですか?試合は14対13の大接戦で逆転勝利をものにしたのは良かったと思いますけど。会場もその日一番の盛り上がりを見せていましたよね」
お父さん「確かに盛り上がりましたね(笑)でも、試合前に決めていた試合のプランができていなかったことで辛口の採点になっています。今まで練習していたタックルを少しでも出してくれたらと・・・・。」
虎之介「それは僕も同じで、試合内容に関しては納得していません!!」
湯川「虎之介も納得していないんだ、逞しくなったね。では今から優勝するまでの約8年間の歩みを聞いていきたいと思います。小学一年生で入会したんですよね。なぜレスリングを始めようと考えたんですか?」
虎之介「もともとはプロレスが大好きだったからです。WWEの人気プロレスラー『ゴールドバーグ』に憧れて、レスリングをやりたいと思いました」
お父さん「本当にこいつはプロレスが大好きで、誕生日プレゼントにプロレスラーのフィギュアお願いされたり、覆面を買ってあげたら大須商店街をマスクを被って練り歩いたりしていましたよ(笑い)」
湯川「本当に?それは凄いなぁ。ではどうやって当クラブを知ったんですか?」
お父さん「もともと一緒の会社だった丹下さんに紹介してもらって入会しました」
湯川「そうだったんですね。入会した当時の様子を覚えていますか?」
虎之介「はじめて道場に入る時にめちゃくちゃ緊張しました。でもその時にみんなが声をかけて寄り添ってくれて安心したことを昨日のことのように覚えています」
湯川「そうなの?緊張と無縁な感じがするけど・・・。」
お父さん「こいつ、実はめちゃくちゃ恥ずかしがり屋なんですよ」
湯川「知らんかった。いつもニコニコしているからそんな感じがしないよね。入会まもない頃の練習はどうだった?」
虎之介「練習に行くのが楽しかったです。特に練習後にやる、ボール遊びや鬼ごっこ、あと練習の合間サンドバッグを叩くのが楽しかった!!」
湯川「あっ、そっちね。練習はどうでしたか?」
お父さん「こいつは2年生までマット運動の後転ができなかったんですよ。みんなができることができないと愚痴をこぼすこともありました。そんな時は『やれない事が恥ずかしいのではない、挑戦しないことが恥ずかしい事だ!』と声をかけ見守っていました。すると、小学4年生の時にはクラブで最初に手だけでロープを登ることができたんです」
虎之介「初めてのことに挑戦することは楽しいです」(笑)
湯川「虎之介が始めて試合に参加したのはいつになりますか?」
お父さん「実は練習に参加して1年後なんです。他の子が試合に参加しているので、『虎之介も出てみないか?』と聞くと、虎之介が『負けるのが嫌だ‼』と返答をしてきました。そこで、『負けてもいいから挑戦してみな』の一言で本人が参加すること決意しました」
湯川「結果はどうでしたか?」
お父さん「一点も取れず、何もできず惨敗!その後は出れる試合には全て参加しましたが、一点も取れずに全敗が続きました。私は虎之介がこれから何年レスリングをやるかわからないけど、(この子はずっとこのまま一点も取れないまま一生勝てないんじゃないか)と思うようになってきました」
湯川「それだけに初勝利の試合は鮮明に覚えていますよね」
お父さん「ええ、千種体育館で行われた名古屋市民大会です。ちょうどデビュー戦から1年後、同じ舞台でした。その試合は大接戦となり、延長戦の末、1対0で勝利しました」
湯川「私もこの試合は凄く覚えています。虎之介が勝利後、お父さんの所にニコニコしながら戻ってくると、お父さんが虎之介を抱きしめて人目もはばからず、男泣きしていたことが印象に残っています」
虎之介「あの時は本当に恥ずかしかった」
お父さん「一生勝てないと思っていた中で努力して、息子が頑張って勝利した姿が本当に嬉しかったんです」
湯川「その気持ちわかるなぁ」
お父さん「当時、虎之介は本当に身体が細く、体力がありませんでした。このままの体力で勝てないと思い、一緒にプランクなどの体幹トレーニングや坂道ダッシュ、サーキットトレーニングをやっていました。たまにお母さんも参加して走っていました。それが形になって嬉しかったんだと思います」
湯川「一緒にやっていたんですか?」
お父さん「口だけ出すのは子どもも納得しないと思い、毎日一緒にトレーニングをしていました。今は虎之介の体力についていけなくなったのでやっていませんけど」(笑)
湯川「学年が上がるにしたがって、試合に対するモチベーションはどうなってきましたか?」
虎之介「当時、クラブでスパーリングや練習試合を通して、段々と『勝ちたい!!』という気持ちが強くなってきました。そんな中、こんなレスラーになりたいという憧れの選手が現れました。こんな凄い試合ができる選手になりたいと思うようなりました」
湯川「誰?」
虎之介「叶夢(かなむ)君(当クラブ出身で星城高校、東洋大学に進学)です。小学4年生で見た、高校生の県大会で、叶夢君が正面タックルで相手を持ち上げ、そのままローリングでテクニカルホール勝ちした試合を見て衝撃を受けました。カッコ良くて強いと思いました」
湯川「えっ、そうなの!!虎之介の戦い方は叶夢がモデルになっているの?」
虎之介「ええ、それから叶夢君みたいになれるように練習してきました」
お父さん「当時虎之介に『これからどんな技を覚えたい?』と聞いたら、『正面タックル』と答えましたね。もともと新しい技を器用に覚えるタイプではないので、立ち技は正面タックルだけ、そして寝技はローリングだけに絞って練習した方がよいのかなぁと思い賛成しました」
湯川「現在練習で取り組んでいる課題は何ですか?」
虎之介「いつもしっかりと構えることを心がけています。それとタックルに入る前の崩しやフェイントをもっと磨きたいです」
お父さん「必勝パターンを3つ確立したいですね。そのためにネットの動画で研究したり、色々な方からアドバイスしてもらった技を練習で必ず試すようにと言っています」
湯川「お互いの意見が違って喧嘩することはないの?」
虎之介「そんなことは全然ありません」
お父さん「うちの家から道場まで通うのに車で1時間ぐらいかかるので、行きの車中では今日の練習テーマを話し合い、帰りは今日の練習の反省点などをいつも話し合っています」
湯川「通うのに時間がかかることを、逆に上手く活用していますね。練習に取組むにあたって大切にしていることは何ですか?」
お父さん「私がいつも虎之介に『テーマを持って練習しなさい』と『間違っことを何百回と惰性で繰り返す練習ではなく、正しい事を10回でもよいので集中して取組みなさい』と言うことはいつも言っています。また、躾として『挨拶と返事、そして笑顔を忘れないこと』は徹底するように言い聞かせています」
湯川「ここに笑顔が入るんですね」
お父さん「笑顔があれば、口下手でも人に嫌われないじゃないですか。そうすれば人間関係もよくなり、友人からの助けや先輩方のアドバイスも受けられやすくなると考えています」
湯川「なるほど、だから虎之介はいつもニコニコしているんだ。そんな虎之介も早いもので来年度は中学3年生になります。これから高校進学に向けて勉強も大切になってくるけど、勉強とレスリングの両立はどうしているの?」
虎之介「練習がない日は家に帰ってすぐに宿題をします。その後夕食を食べて、今日の学校の授業の復習をしています。それが終わるとお風呂に入って午後10時までに就寝します」
湯川「えっ、本当に毎日勉強しているの?」
虎之介「本当です、本当にやっています。今はこの生活に慣れてきたので、勉強の仕方を工夫してゲーム感覚で楽しくやっています」
お父さん「自分から勉強をするようになってから『自分で考えてやることや、こうなったらこうなる』という思考が向上したように思います。この1年間で少し成長したと思います」
湯川『ではこれからの目標を教えてください」
虎之介『来年度の全国中学生大会でベスト8に入ることが目標です!』(きっぱり)
湯川『中学最後の全国大会だから、最低でも2日目には残りたいね。頑張っていきましょう。では最後にこれからレスリングをはじめようと考えている子どもや保護者の方にメッセージをお願いします」
虎之介「練習をまじめにやると、色々な経験ができて成長することができます。練習では楽しいことや時には辛いこともあります。僕は8年間を振り返るとあっという間で楽しかったです。ぜひ、機会がありましたら一緒にレスリングをしましょう。待ってます」
お父さん「うちの子は本当にゆっくりなペースで成長してきました。紙を一枚一枚積み重ねるように成長したと思います。段ボールの厚みは簡単に潰れてしまいますが、一枚一枚の積み重ねの厚みは簡単にはつぶれないので、これはこれでよかったのではないかと思います。これからの人生でも多少の圧力がかかっても耐えることができると思います。息子がレスリングを初めたことで、この事が実感できて良かったです。ぜひ子どもがレスリングに挑戦したいと言ってきたら、そっと背中を押してあげてください。そして長い目で見守ってあげてください」
湯川「本日は貴重なお話をありがとうございました」
虎之介親子「こちらこそ、ありがとうございました」
今回のインタビューを通して一番印象深い言葉は、『やれない事が恥ずかしいのではない、挑戦しないことが恥ずかしい事だ!』でした。けっして体力的に恵まれているわけでもない虎之介。そんな彼がくじけそうになった時、お父さんの的確な助言やアドバイスに支えられ、それに答える形で虎之介がしっかりと取組んだことが、今回の優勝という結果に繋がったと思います。本当に羨ましい親子関係だと思います。 (おわり)
2024年 01月 29日
太平産業杯 愛知県レスリング選手権大会
「頭で考えていた作戦がうまく出来なかった」と悔しがる子がいました。作戦を考えることも大切ですが、やっぱり普段の練習でやっているクセが試合で出てしまいますね。
試合で勝てた子、勝てなかった子がいますが、みんな試合での反省点を踏まえて、今後の練習のレベルアップを図りましょう。
2023年 06月 25日
BEX杯 第18回いなべ少年少女レスリング大会
ナゴヤレスリングアカデミーからは7名参加しました。
試合で勝てなかった子も勝てた子も、自分の出せる技を出して、よく頑張りました。
2022年 07月 01日